精度が重要なのは、患者データが、その後の修正、製作、フィッティング、そして治療結果の評価を支える基盤となるためです。
導入事例
Published on Aug. 17th 2026
Atlantic ProCareでは、EinScan Medixaによる高精度な3Dスキャンを導入し、義肢装具業務のデジタル化を推進。業務効率の向上に加え、データのトレーサビリティと再現性を高めています。
アメリカを拠点とするAtlantic ProCareは、CPOのJP Dunivan氏が率いる義肢装具サービスプロバイダーです。30年以上にわたり、さまざまなニーズに応える義肢・装具ケアを提供しており、特に下肢義肢と側弯症装具に力を入れています。

Atlantic ProCare
JPはこれまでのキャリアを通じて、義肢装具の現場が、非常に手作業中心のプロセスから、ますますデジタル化されたワークフローへと変化していく過程を目の当たりにしてきました。
Atlantic ProCareにとって、この変革は単に新しいテクノロジーを導入することを意味するものではありません。臨床スタッフがより有意義に時間を使える環境を整え、患者データの精度を高め、最終的にはより良いケアを提供するための、新しいアプローチを実現することが目的です。
デジタル技術を導入する以前、Atlantic ProCareでは、義肢装具業界で広く用いられてきた、従来の石膏による採型・製作プロセスを採用していました。臨床スタッフは患者の身体を石膏で採型し、その型をラボへ運搬。そこでモデルを作製・修正した後、従来の製作工程へと進むという流れでした。

義肢装具における従来の製作方法
この従来のアプローチには、主に3つの課題がありました。
手作業への依存:熟練した職人の手作業に大きく頼っていたこと。
時間の制約:医療従事者が患者の直接ケアではなく、ラボでの製作作業に多くの時間を割いていたこと。
品質のばらつき:製品や技術者によって、再現性の高い精度を維持することが難しかったこと。
こうした状況から、重要な課題が浮かび上がりました。「臨床スタッフがラボでの作業時間を減らし、最も重要な仕事である患者との直接的な対応に、より多くの時間を使うにはどうすればよいのか?」
Atlantic ProCareでは、3Dスキャンを単独の工程として捉えるのではなく、包括的なデジタルエコシステムの重要な起点と位置づけています。同院が目指しているのは、各工程がシームレスにつながる一貫したワークフローです。
患者データの3Dスキャン → デジタルモデル → 修正 → 製作 → フィッティング・納品 → 電子記録 → 臨床アウトカム測定
JPはこれを「究極のデジタルワークフロー」と表現しています。これは、初回の3Dスキャンからデジタル製作、フィッティング、さらに長期的な臨床アウトカムの測定まで、患者情報がシームレスに連携する包括的なサイクルです。これにより、臨床スタッフは初回の3Dデータを基準として、経過に伴う治療効果や構造的な変化を正確に追跡・記録できるようになります。
プロフェッショナル向け3Dスキャン技術を導入する前、Atlantic ProCareでは、スマートフォンを使ったスキャンや、その他のCADスキャン技術など、さまざまなデジタルデータ取得方法を試していました。

スマートフォンベースのスキャンアプリ
これらのソリューションは、利便性や携帯性という点で明確なメリットがありました。しかし、利便性だけでは十分ではありませんでした。チームは、従来のデジタルデータ取得方法では、特に義肢分野において、求める精度を必ずしも満たせないことに気づきました。
初期のスキャンデータが正確でなければ、臨床スタッフは最終的に不正確なモデルを修正することになります。後工程のワークフローがどれほど高度であっても、最終的な仕上がりの品質は、最初に取得するデータの品質に左右されます。
「精度がなければ、一貫性と再現性は実現できません。」
これが、Atlantic ProCareがプロフェッショナル向け3Dスキャンソリューションを探し始めた重要な理由の一つとなりました。


EinScan Medixaによるソケットのスキャン
しかし、精度だけでは十分ではありませんでした。多忙で変化の多い臨床現場に、スムーズに導入できることも重要でした。EinScan Medixaは、臨床現場に求められる高精度と、ワークフローを効率化する機能を組み合わせることで、この課題を解決しました。
ケーブルに縛られない携帯性:ワイヤレス設計により、診察室や病院、さらには患者の自宅でも、ケーブルや大型の機器に制約されることなく、患者の周囲を自由に移動しながらスキャンできます。

患者の歩行評価にワイヤレスのEinScan Medixaを使用する臨床スタッフ
デバイス上での即時処理:臨床スタッフは、デバイス上でスキャンデータの初期処理を行い、基本的な身体計測も直接実施できます。PCにデータをすぐに転送する必要がなく、患者の目の前で即座に臨床データを確認・検証できるため、よりスムーズな診療を実現します。


ソフトウェアとのシームレスな連携:Medixaは、単独で使用するツールではなく、各工程をつなぐデジタルハブとして設計されています。データ転送を効率化し、O&P設計ソフトウェアやクリニックのERPシステムともスムーズに連携できます。スキャンが完了すると、正確な患者データが迅速かつ安全にラボへ送信され、次のデジタル修正工程へすぐに進むことができます。


Atlantic ProCareの取り組みは、義肢装具のデジタル化が、単に石膏採型を3Dスキャナーに置き換えることではないことを示しています。大切なのは、正確で信頼性の高い患者データを軸に、一連のワークフローを構築することです。
患者データを正確に取得し、デジタルデータとして保存・管理し、必要に応じて体系的に修正・加工するとともに、時間の経過に伴う変化を継続的に計測できれば、O&Pのワークフローはより可視化され、追跡しやすく、再現性の高いものになります。その結果、臨床スタッフは患者とのコミュニケーションやケアにより多くの時間を充てながら、一貫性と再現性の高いケアを支える、より確かな基盤を築くことができます。

義肢装具のために開発された、ワイヤレス・オールインワン3Dスキャナーです。非接触かつ完全デジタルのスキャン方式により、義肢装具の臨床現場におけるケアを、より効率的・高精度・スムーズにサポートします。
JPは、今後もAIやデジタル技術がO&Pのあり方を変えていくと考えています。これらの技術によって、作業の中断や待ち時間を減らし、業務効率を高めるとともに、患者と直接向き合うための時間をより多く確保できるようになると期待しています。
最終的に、テクノロジーが目指すものはシンプルです。より良い患者ケアを実現することです。

「患者一人ひとりと向き合い、その人のことを知り、ニーズを理解したうえで、これまで得られなかったかもしれないレベルのモビリティを提供したい。そして、私たちのケアだからこそ、ここまでできるのだと感じてもらえるような、質の高いケアを届けたい。」
精度が重要なのは、患者データが、その後の修正、製作、フィッティング、そして治療結果の評価を支える基盤となるためです。
3Dスキャンによって患者データをデジタル化し、ソフトウェアに直接取り込んで修正やその後の工程に活用できるようになります。これにより、手作業による処理を減らし、臨床スタッフが患者との時間をより多く確保できるようになります。
デジタル化された患者データは、保存・修正・計測・経時的な比較が可能です。これにより、より追跡しやすく、定量的に評価できるワークフローを構築でき、データに基づいた義肢装具ケアの実現をサポートします。
デジタルスキャンを活用することで、臨床スタッフが石膏による採型やモデルの修正に費やす時間を減らすことができます。また、トレーニングを受けた他のスタッフがスキャンを担当することも可能になるため、臨床スタッフは修正作業や患者へのケアにより多くの時間を充てられるようになります。
EinScan Medixaは、ワイヤレスで持ち運び可能な設計により、ケーブルに制約されることなく、患者の手足や体幹の周囲を自由に移動しながらスキャンできます。特に、通常の診察室以外の場所でスキャンを行う場合に、その携帯性が大きなメリットとなります。