
導入事例
Published on Sep. 18th 2025
3Dスキャンと鋳造技術により、フォードは忘れ去られていたデトロイトのランドマークを復元
SHINING 3Dのスキャンと鋳造技術が、ミシガンセントラル駅の象徴的な手すりをどのように復元したかをご覧ください。伝統的な遺産と現代の革新が見事に融合されています。
背景:ランドマークの復活
ミシガン・セントラル駅は、1913年に優美なボザール様式で建設され、かつてはアメリカ有数の鉄道駅でした。ニューヨークのグランドセントラル駅を手がけた同じ建築設計事務所によって設計され、20世紀初頭のデトロイトの繁栄を象徴していました。
1988年に閉鎖され、長年にわたり放置されたこの駅は、都市の衰退の象徴ともなりましたが、2018年にフォードモーターがこの廃墟となった建物を購入。その後、駅舎と周辺のコルクタウンキャンパスを含む約6年間、ほぼ10億ドルを投じた大規模な修復プロジェクトを経て、最先端のテクノロジーおよび文化の拠点へと生まれ変わりました。
2024年6月、盛大なオープニングイベントとともに駅は再開され、ダイアナ・ロスやジャック・ホワイトといったデトロイト出身の伝説的アーティストによるチケット完売のコンサートが開催されました。現在、この駅は再生されたミシガンセントラル・イノベーション地区の中心として機能しています。修復されたグレートホール、外壁、アーチ状の天井、商業スペースは、デトロイトの復活を物語る象徴となっています。

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ミシガンセントラル駅の修復前と修復後
歴史的な鋳鉄製手すりキャップの復元
修復が必要な建築ディテールは数え切れないほどありますが、駅のプラットフォーム階段に設置されていた装飾的な鋳鉄製手すりもその一つです。オリジナルの手すりのほとんどは劣化していましたが、そのデザインは建物の個性を形作る重要な要素でした。しかし、手すりキャップの複雑な模様を再現することは極めて困難でした。この修復プロジェクトには、地元の鋳造所や型枠製作所が数多く協力し、多くの箇所で3Dスキャンやリバースエンジニアリング技術が活用されました。
損傷した階段手すりのキャップ
100年前のデザインを蘇らせる方法
オリジナルの3Dスキャンとリバースエンジニアリング
地元のパターンショップであるJJ Pattern社は、伝統的なパターン製作技術に加え、3Dスキャンや3Dプリントされたサンドコアを組み合わせて作業を行いました。また、Preferred Technologies LLCは、SHINING 3DのFreeScan UE Pro2ハンディ3Dレーザースキャナーを使用し、駅舎内の鋳鉄製の細工装飾(フィリグリーフローレット)を含むいくつかの鋳造部品をスキャンしました。1913年のデザインが持つ幾何学的形状は、すべての装飾模様とともに正確に記録されました。スキャンデータはCADソフトウェアにインポートされ、CADデザイナーがキャップの完全なモデルを再構築。先端部や装飾頂部(フィニアル)の細部まで忠実に復元しました。
キャップのリバースエンジニアリングによる3Dモデル


サンドコアのフィニアル部分の3Dモデル

木型、砂型、鋳造
砂型を作成するために、CNC加工を用いて高密度ポリウレタン製のベースパターンを作製しました。フィニアル型のコアは3Dプリントされた砂で作られ、鋳造工場でベースパターンにセットされた後、ブロンズ部品を鋳造しました。
CNC加工された木型


砂型を作るための最終的な木型
砂型の組み立てが完了すると、溶解したブロンズをゲート系統を通じて型内に注ぎました。冷却・凝固後、砂型を破砕して取り除き、新たに鋳造された手すりキャップの部品が姿を現します。その後、鋳造品は清掃および機械加工が行われました。この工程により、約200個の新しいキャップが無事に鋳造されました。
砂型を取り除いた後のオリジナルの鋳造部品
取り付けられた手すりキャップ
影響と意義
この修復により、新たに鋳造された手すりは、オリジナルの芸術性とディテールを忠実に反映し、歴史的な正確さを保ちながらも現代の使用にも耐えうる耐久性を備えた200個の手すりが生まれました。これらの手すりの復旧は、駅内の空間的連続性と視覚的な一体感を取り戻すことに貢献しました。大規模な再生プロジェクトの一環として、これらはデトロイトの過去の華やかさと、未来を切り拓く革新の精神を象徴する存在となり、このランドマークの再生において不可欠な要素となっています。

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