プジョー207スパイダー
導入事例
Published on Dec. 2nd 2025
プジョー207スパイダーのEV化プロジェクトにおける3Dスキャンの活用
ESTACAの学生チームが、FreeScan Trak Novaを活用し、プジョー207スパイダーを完全電動のヒルクライムマシンに改造しました。
概要
2024年後半、フランスの工学系高等教育機関ESTACA Lavalの学生チームは、ガソリンエンジン搭載のレーシングカー「プジョー207スパイダー」を100%電動のヒルクライムマシンに改造するプロジェクト「FUJ-E」を開始しました。

ESTACAフォーミュラチーム
チームの課題は、車両の俊敏性を維持し、FIA(国際自動車連盟)のモータースポーツ規則に準拠しながら、すべての熱機関の関連部品を高性能な電動パワートレインに置き換えることでした。
これを実現するには、空力最適化、カスタム部品の設計、そしてチーム間の連携のために、ボディとシャーシの高精度かつ高解像度の3Dモデルが不可欠でした。そこで、SHINING 3Dの3Dスキャン技術が導入されました。
課題
プジョー207スパイダーは、内燃機関を動力源とするレーシングカーとして設計されていたため、FUJ-Eチームは以下の課題に直面しました:
- エンジン、排気装置、燃料タンクなど熱機関の関連部品をすべて取り外します。
- 総重量を約900kgに抑えながら、220 kW (約300 馬力) の電動パワートレインを搭載します。
- 過度の重量増加なしに、複数回のフルレース登坂を可能とする十分なバッテリー容量を確保します。
- エンジンマウント、バッテリー配置、冷却システム、電子機器など、車両の内部構造を見直します。


ソリューション:FreeScan Trak Nova
1. ボディスキャン
最高の精度を確保するため、Novaトラッカーの校正と設置が完了した後、ボディのスキャンを複数段階で実施しました。作成された高精度の3Dモデルは、空力解析、ボディ改造、およびカスタムパーツ製作に活用されます。


プジョー207スパイダーのボディスキャン (左) とスキャン結果(右)
2. シャーシスキャン
次に、ボディ部品を取り外してSHINING 3Dのスキャナーでシャシーをスキャンしました。このステップは、電気部品のマウントやサポート構造の設計に極めて重要です。
このプロセスによって取得した完全かつ正確な3Dモデルは、モーター、バッテリーパック、冷却システム、配線などをデジタル上で正確に統合することを実現します。また、このモデルは機械的な制約の予測、利用可能なスペース内での部品配置の最適化などにも活用できます。


プジョー207スパイダーのシャーシスキャン(左) とスキャン結果(右)
3Dスキャンによるデジタルデータ
スキャンして後処理した結果、以下の二つのファイルが得られました。
-
ボディの3Dモデル:空力解析用。
-
シャーシの3Dモデル:改造部品の設計用。


ボディの3Dモデル (左) とシャーシの3Dモデル(右)
これらのファイルは高精度のメッシュモデルであり、STL形式でエクスポート可能で、ESTACAの学生が使用する主要なCADソフトウェアと互換性があります。
このデジタル化のおかげで、各チームは車両を分解することなく、信頼性と使いやすさを兼ね備えた共通のベースから作業を進めることが可能になりました。これにより、以下の作業が簡素化されました:
-
空力シミュレーション解析
- 部品マウントのカスタム設計
-
チーム間の技術的な計画立案
教育と連携
ESTACAの学生が主導したFUJ-Eプロジェクトにおいて、SHINING 3Dは車両の全体3Dスキャンという重要な段階で技術サポートを提供しました。現場では、技術指導や知識の共有を通じて、より深いパートナーシップが実現しました。
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